写真は科研費助成事業「気持ちよさをもたらす看護ケア理論の創生」サイトより転用
臨床看護師のころ、朝は「おはようございます」とカーテンを開けて患者さんを起こし「今日一日すこしでも気持ち良く過ごしてくれたらいいなあ」と思いながらモーニングケアを行ってきました。
そこで、モーニングケアの効果を明らかにする研究に取り組みました。
整形外科病棟の入院患者さん達に早朝の援助で良かった内容や悪かった内容とその理由を聞く研究をしました。患者さんは自分でできない環境整備や身支度などの援助を心待ちにしていました。それは、入院して普段通りできなくなったことで、改めてそのかけがえのなさに気が付いたからです。
また、目を覚ましてから「今日の体の具合はどうだろう」「今日の予定はどうだったかな」と不確かな状況におかれていました。それは、患者さんは普段以上に身体状態や今日の予定に敏感になっていて、なおかつ自分では調整ができないからです。
(参考文献:床上安静中の入院患者の朝の生活の構造,大橋久美子,聖路加看護学会誌,12(1),9-17,2008)
私はこうした患者さんの朝の援助への要望をもとに、採光や整理整頓などの環境づくり、苦痛の緩和、普段の習慣に近付けた洗面や整容などの身支度、一日の予定の確認などを行うモーニングケアをつくりました。」 「そして次の研究で、主におしぼりと歯磨き道具を準備するケアを受けた患者さんよりもこのケアを受けた患者さんのほうが、十分な朝の支度ができ、快適に起床でき、活力が高まった状態で主体的に朝食の準備にとりかかり、食事摂取量が増加するということを示しました。
患者さんにとって食事摂取量の増加は健康回復につながります。 患者さんの要望に沿ったひとりひとりの朝を創るモーニングケアは、毎朝積み重ねることによって、患者さんの健康回復を促していくのでしょう。
温故知新という孔子の教えにあるように、昔の良き習慣を振り返ることで新たな健康の方略がみつかるかも知れません。皆さんも充実した「朝時間」をお過ごしくださいね。
Effects of early morning care, named "Comfort upon Rising" care, on postoperative orthopedic ambulation and morning activity. Kumiko Ohashi. Japan Journal of Nursing Science. Article first published online: 28 AUG 2013 | DOI: 10.1111/jjns.12028