看護系大学・大学院の学生にとって、進路の選択肢は多様になっています。看護系大学の新設が進み,学生数はここ10年ほどで1.5倍に増加していますが,就職先を病院とした場合,その採用人数には増加はなく就職試験における競争率が上がっています。また、助産師や保健師の資格取得を目指す場合において、大学院への進学が必要になるケースも多く、就職後に進学するか、すぐに進学するかキャリアプランについて悩むケースもあります。また、大学院生にとっても修士課程を修了後、どのようなキャリアを歩むか悩む学生は少なくありません。学生が,自分の進路について自己の特性を踏まえた上でやりたいことに向き合い,納得した進路を決定するための自律的な活動をサポートする必要性が高いと考えました。
進路選択のガイドは、Ottawa Personal Decision Guide For People Making Health or Social Decisionの日本語版をベースに開発を進めました。このツールは,健康関連または社会的意思決定のために設計され,以下の4 つのステップで構成されています。
この4つのステップをガイドの構成の柱として、ガイドに含める情報について文献を収集したり、学生のニーズ、学生を支援する教職員のニーズを聞き取ったりしながら検討しました。例えば、学生がよく利用する進路選択のためのツールは、民間の人材・広告企業のWebサイトや各施設・学校のホームページを用いることが多く、情報の集め方は学生によって様々でした。また、情報をもとに、どのように進路を決定するかについては、自分のやりたいことに焦点をあてて十分に吟味する学生もいれば、どのように決定すればよいかわからないという学生もいました。意思決定の方法について理解することも重要であると考え、ガイドのステップに沿って自分の価値観に沿った意思決定ができるようにサポートすることが必要であると考えました。このような開発手順を踏みながら試作版を作成し、その後、学生や教職員を対象に内容適切性評価を行い、その結果を踏まえて開発したのが「進路選択のガイド -私らしい将来の意思決定-」です。
現在は、開発したガイドの普及のための取り組みを始めています。また、今後、大学を卒業する学部生や大学院を修了する大学院生の両者にとって、開発したガイドが有効であるかの評価をする取り組みも行う予定です。
また、以下のホームページもご活用ください。
https://sites.google.com/view/shinrosentaku/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
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本研究は、以下の研究助成を得て実施しました。
2022年度 聖路加国際大学教育改革推進事業費