わが国では近年、小児科医と小児科の施設数の減少に伴い、小児の混合病棟への入院や遠方からの入院が増加傾向にあります。そのため、小児および混合病棟の入院児への付き添いと面会、遠方からの入院時家族の宿泊施設の整備が一層求められています。しかしながら、付き添いと面会に関する施設方針については、一定の見解はなく、施設ごとの個別的な対応に委ねられている現状があります。そこで今回は、付き添い・面会、家族宿泊施設の実態を明らかにし、付き添い家族への支援について看護師が抱く課題と困難を明らかにすることを目的に研究を行いました。
病床数100床以上の小児診療を行う全国の施設を対象にアンケート調査を実施したところ、655施設からの回答が得られました。
本調査における混合病棟の割合は、全体の約7割弱を占めており、小児の治療の場として混合病棟の重要性が高まっている現状を再認識する結果となりました。
家族の付き添いの方針は、小児病棟は「希望で可」が最多であるのに対し、混合病棟は「原則一律の付き添い」が最多であることわかりました。またきょうだい面会に関しては、小児病棟は「条件により可」、混合病棟は「許可する」が最も多く、条件を課している施設の条件内容は「病児が年少のとき」、そしてきょうだいに関しては「きょうだいの感染症がない・ワクチン接種済み」が最多となりました。
家族の宿泊施設利用に関しては、「利用した、紹介することがある」と回答した施設の割合が10%前後と少ない現状がありましたが、小児病棟は混合病棟と比較して、その割合が高いことも分かりました。
最後に、看護師が抱く家族への対応時の困難に関しては、小児病棟、混合病棟共に「子どもを見ることができる家族員がいないこと」が最も多く、原因としては「核家族化・ひとり親家族の増加」を挙げていました。一方課題に関しては、「家族の食事をする場所がない」、「付き添いの入浴施設がない」といった家族にとって不十分な環境の整備や、「サポートがない家族へのメンタル、身体ケア」などの病児やその家族への支援の必要性が挙げられました。内訳をみると、小児病棟と比較して混合病棟の方が家族にとって不十分な環境の整備を課題として挙げた割合が高い一方で、病児やその家族への支援を課題とした割合は低いという結果も明らかとなりました。
研究結果から、小児の入院における混合病棟が担う役割は重要になっており、今後は、混合病棟の看護師に対して入院児家族への支援に必要な情報提供をより充実させていく必要があると考えます。
また核家族化が進む中で、看護師は家族の付き添いのための環境整備や、付き添いながらきょうだいを世話する家族への支援に関して困難と課題を感じています。家族を含めた小児の入院環境に関して、付き添い、きょうだいの面会方針、家族宿泊施設がどのようにあるべきなのかに関しては、1施設、1病棟ごとが解決策を提供することは難しい現状が予測されます。地域との連携、行政の対策、そして他施設協働による施設方針の決定と環境整備が望まれると考えます。
詳細はこちらをご覧ください
小林 京子, & 法橋 尚宏. (2013). 入院児の家族の付き添い・面会の現状と看護師が抱く家族ケアに対する困難と課題に関する全国調査. 日本小児看護学会誌, 22(1), 129-134.