集中治療室で治療を受ける患者さんが、自分らしい治療を受けるための意思決定を支援するディシジョンエイド

聖路加国際大学 急性期看護学 山本加奈子

集中治療室で治療を受ける患者さんが、自分らしい治療を受けるための意思決定を支援するディシジョンエイド
2023.03.15

研究のきっかけ

研究のきっかけイメージ 集中治療室で治療を受ける患者さんは、病気や薬の影響で自分で治療の意思決定をする力が低下していることがあります。この場合は、ご家族が患者さんが受ける治療を代理で意思決定することになります。また、患者さん自身が意思決定する力はあっても、自分の病気や治療ないようの複雑さから、どのように受けたい治療を決めていけばよいか難しいことが多い特徴があります。
 私はこれまで、集中治療室や救急外来で認定看護師・専門看護師の資格をもちこのような患者さんやご家族の支援に関わってきました。患者さんが集中治療室で治療を受けている時も、「自分らしく生きる」ことを大事にするためにどのように自分の治療の希望や意思を考え、意思決定し、家族や医療者に伝えていけばよいかその方法について支援するためのディシジョンエイドを開発することにしました。

研究内容

 集中治療室で治療を受ける患者さんが「自分らしく生きる」ためのディシジョンエイドを開発するための基礎研究は世界的に少なく、概念を整理したり、エビデンスの収集からスタートし、8つのステップを経て2つのディシジョンエイドを開発しました。
 開発したディシジョンエイドを臨床で実装した結果は、以下の通りです。
①患者さんやご家族への支援のニーズや満足度は高かった。
②支援による精神的負担増加はなかったが、患者さんや家族により支援を開始するタイミングは検討が必要である。
③患者さんや家族は、治療前に自分の気持ちを伝え合うことの必要性を感じながらも、難しいと感じていた。
④開発したディシジョンエイドの臨床での使用は十分可能と評価された。

研究のきっかけ

今後に向けて

今後に向けてイメージ 現在は、開発した2つのガイドの普及のための取り組みを始めています。
 また、集中治療室に入室する患者さんの中には、自分の治療の希望をこれまで考えたり家族や医療者と話し合った経験が全くない方も多くいらっしゃいます。その場合、家族や医療者が患者さんに代わって、患者さんだったらこのように意思決定するだろうと推定しながら代理で意思決定をします。このような代理意思決定を家族が行う時に家族を支援するためのディシジョンエイドも現在開発中です。

ディシジョンエイドとホームページ

ディシジョンエイドA 日本語版
ディシジョンエイドA 日本語版
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ディシジョンエイドA 英語版
ディシジョンエイドA 英語版
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ディシジョンエイドB 日本語版
ディシジョンエイドB 日本語版
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ディシジョンエイドB 英語版
ディシジョンエイドB 英語版
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STEP8
Yamamoto K, Kaido T, Yokoi T, Shimada G, Taketa T, Nakayama K. Implementation of advance care planning decision aids for patients undergoing high-risk surgery: a field-testing study. BMC Palliat Care. 2022;21(1):179. doi:10.1186/s12904-022-01068-2

本研究は、以下の研究助成を得て実施しました.

  • 2019-2021年度 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究「ICUに入室する周術期患者が「最も判断が難しい時期」に備える意思決定ガイドの開発」(19K19613)
  • 2022-2024 年度 日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 「高リスク手術予定の患者の「私らしく生きる」を支えるディシジョンエイドの実装と普及」(22K17456)
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