腰背部温罨法の排便・排ガス効果

2014.10.21

「腰背部温罨法」で促す、排便と排ガス

便秘や排ガス困難で腹部膨満などの苦痛がある方には、温熱効果を利用して腸管の運動を高める「腰背部温罨法」が効果的です。
「腰背部温罨法」による自然排便や排ガスを促進させる方法をご紹介します。

準備するもの

厚地タオル3枚(32×80cm程度)、ビニール布(大2枚)、バスタオル(大1枚)、厚手ゴム手袋、 バケツ、皮膚保護剤(オリーブ油)水温計、聴診器

手順

  • 1.対象者に目的と手順、所要時間などを説明して、了解を得ます。
  • 2.腹部を聴診して腸管の動き(腹鳴の強弱など)を、触診して便塊の有無、腹満の程度などの確認をします。
  • 3.対象者の準備をします。
    ・体位は側臥位で楽な姿勢にする。場合によっては仰臥位でもよい。
    ・衣服を脱がせ腰背部を十分に露出しバスタオルで覆う。
    ・腰背部の下にビニール布とバスタオルを敷き込み、リネン類を濡らさないようにする。
    ・皮膚の敏感な人には皮膚を保護するためにあらかじめ皮膚保護剤を塗布しておく。
  • 4.タオル3枚を重ね、センス折にします。
  • 5.深めの大ベースンに湯(70度程度)をたっぷり入れ、ゴム手袋を重ねて2枚つけてから、あらかじめ畳んでおいたタオルの両端をもって、中央から十分に湯に浸し絞ります。
  • 6.空中でタオルを振るようにして広げ、温度を確かめつつ3枚まとめて2つ折にして、熱さを確認します。(看護師の前腕内側、温度覚の敏感な部分に当てましょう)
  • 7.第4~5腰椎を中心に2つ折り(タオル6枚分)にしたタオルを当て(貼用部の温度は43~45度、反応をみながら調整する)、保温のためのビニール布で覆い、さらにバスタオルで覆う。温熱効果を有効に発揮させるために、バスタオルの上から、手のひらでしっかりおさえ温タオルが患者の皮膚に密着するようにします。
    ※温度覚は個人差があるので、当てた直後に必ず熱さを確認しましょう。貼用時間は10分くらいにして、必要があれば交換・延長します。
  • 8.終了後は湿気を取り去り、皮膚の状態を観察して、ねぎらいの言葉をかけ、口渇があれば制限のない範囲で飲み物をすすめましょう。

注意事項

  • 消化管の穿孔・閉塞のある場合、出血傾向がある場合、全身衰弱が激しい場合、血圧の変動が激しい場合には、注意してください。
  • 処置中の室温は、20~24度にしてください。

高齢者の看護

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