寝たきりの予防と対応
2014.10.21
寝たきりになるのを予防するために日常生活で気をつける点
寝たきりの直接の原因は1位:脳血管疾患、2位:認知症、3位:加齢による老衰、老弱ですが、次いで多いのが「骨折・転倒」です(平成22年国民生活基礎調査より)。
脳血管疾患を防ぐためには、高血圧や心疾患など、生活習慣から生じる病気を予防することが肝心です。防ぐことのできる認知症もあります。老衰を防ぐためには、栄養バランスの良い食事の摂取により、基礎的な体力を維持すること、また、日常的に体を動かして筋力を維持することなどが大切です。
転倒および、転倒による骨折を予防するため、日常生活の次のような点に気を付けます。
転倒や骨折を防ぐための留意点
- 高血圧、糖尿病、肥満など生活習慣病を防ぎましょう
- 栄養バランスを考え、良質のたんぱく質の摂取を心がけ、筋力を維持しましょう
- ストレスをためないようにしましょう
- 血圧を定期的に測定し、血圧が高い場合は、受診しましょう
- 処方を受けている薬剤は、正しく使用しましょう
- 筋力の維持、歩行機能の維持のため運動、散歩などを継続的に実施しましょう
- 体を動かし、足腰の筋力の低下を防ぎましょう
- 床や廊下などに物を放置しないようにしましょう
- 段差が見えやすくなるように照明を工夫しましょう
- 必要な場所に手すりを設置しましょう
- 脱げやすいサンダルやスリッパ、裾がまとわりつく服は転倒しやすいため避けましょう
- 地域の身近な場所で開催されている転倒予防教室などに参加しましょう
一日のほとんどが寝たきりに近い場合の留意点
寝たきり状態の高齢者に対する日常生活上の留意点は以下が挙げられます。
- ①関節の拘縮
- 寝たきり状態が続くと関節を動かすことが少なくなるため、拘縮が進行し動かなくなります。
- ②筋力の低下
- 重力に逆らって、身体を支える必要がないため下肢をはじめとした筋力が低下します。
- ③骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
- 寝たきりが続くと、廃用症候群となり体を動かさなくなるため骨密度が低下し、骨粗鬆症となりやすくなります。
- ④心肺機能の低下
- 寝たきりの場合、生命活動を維持するための血液や酸素の量が少ないため、心肺機能が低下します。
- ⑤起立性低血圧
- 立位や座位時に血圧を調節する機能が低下するため、起立性低血圧を引き起こします。
- ⑥便秘
- 寝たきりになると筋力が低下するため、便を押し出す力が減少します。また、食事の量が減り、食物繊維の摂取量も少なくなると、腸の動きも弱くなり、便秘となります。
トイレの回数を気にしたり、おむつ使用のため水分摂取量を減らしてしまうと、便秘しやすくなります。
- ⑦褥瘡(じょくそう)(床ずれ)
- 寝たきりの場合、皮膚の同じ箇所が長時間圧迫され、血流が途絶えるため細胞が死滅し、褥瘡が生じます。
- ⑧認知症・認知機能の低下
- 寝たきりの状態では脳への刺激が極端に減少するため、認知症の発症や認知機能の低下の原因となります。
- ⑨誤嚥(ごえん)
- 食べ物や唾液(つば)などが気管や肺の方に落ち込むこと。肺炎の原因となります。
- ⑩低栄養
- 食事摂取量やタンパク質の摂取量の低下が続くと、低栄養状態に陥ります。
その人に適したやわらかさや、とろみをつけたり、刻んだり、つぶしたりと、食形態や好みの食べ物を考えて、必要エネルギー量を摂取できるようにしましよう。