平成23年6月18日(土)、日本老年精神医学会・聖路加国際大学老年看護学共催により、聖路加国際大学講義室において『世代間交流プログラムの可能性』をテーマに、日米で世代間交流を実践する著名な講師の方々をお招きして市民講座を開催しました。
当日の詳細な様子はPDFにてご覧になれます。820KB
2007年10月13日(土)に聖路加国際大学 高齢者ケアプロジェクト主催で、「地域における世代間交流と高齢者ケア~日米の事例から~」の講演会がおこなわれました。
パネルディスカッションでは「和みの会」について発表しました。
月刊誌メディカルクオール2008年1月号誌面に掲載されました
米国オハイオ州クリーブランドのザ・インタージェネレーショナル・スクール(The Intergenerational School :TIS)の実践をもとに、世代間交流コミュニティスクールの成果が発表されました。
世代間交流アプローチを認知機能障害をもつ高齢者のケアに取り込むアイディアは、認知機能障害を持つ高齢者のケアに革新的なアプローチをもたらしました。ピーター氏と、児童心理学ならびに学校へ行き始めた年少者が直面するさまざまな障害の研究を専門とするキャサリン・ホワイトハウス氏との協働により生まれました。
TISでは、生徒は全員があらゆる年齢の学習者に対し生涯学習と活気ある市民であるための技量と経験を提供する優れた教育コミュニティを育んでいます。
学習は生涯にわたる発展過程であり、知識は文化、経験、地域の関連において社会的に構築されるという理論と、現実の生活に近似する多層年齢環境は最善の学習環境を生み、異なる年齢の人々は相手から、そして相互に学ぶべきである。成功事例学習の原則はすべての年齢に等しく適応する、などの仮説に基づき、スクールモデルに、これらの理論や仮説を組み込みました。
実際には、世代間での知恵の共有、共通物語の創作、人生の課題を教科に融合し、肯定的な相互関係の醸成、地域社会における現実生活の反映などがありました。 たとえば、スタッフ・患者・介護者・学生で構成されるグループで、小さな子供が老いた象の横に座っているといった、さまざまなイメージを持った写真を使って物語を創作したり、ガーデニングなど自然環境も含め、現実の生活を学習する姿勢を育んでいます。
ピーター氏は、「我々の協働プログラムの開発過程において、認知機能に障害を持つ高齢者の介護だけでなく、年少の子供たちの教育に一般社会の積極的な参加を促そうとしています」と結ばれました。
第二部パネルディスカッションでは、我が国の世代間交流の現状が発表されました。
聖路加国際大学 亀井智子氏は、地域における世代間交流プログラムとして「聖路加和みの会」を創造しました。
「聖路加和みの会」は、都市部における子供と高齢者の交流、知恵と文化の分かちあい、介護予防の探求、介護者の息抜き、子供と高齢者が心豊かな時間を過ごす場の提供などを目的としています。年間40回、近隣の高齢者と小学生が参加されています。小学生・高齢者・ボランティアそれぞれの立場から、楽しみや、心豊かに過ごせる場となっていると評価を得ています。
上智大学 黒川由紀子氏からは、「寺子屋回想法」と学校における授業実践の発表がありました。高齢者の過去の人生や体験を、子供達が心を込めて聞くことを基本とします。
高齢者にとっては、セラピーの一環となり、子供にとっては高齢者に対する関心や理解を深めるだけでなく、生きた学習によって豊かな心を育みます。
中央区晴海中学校 虻川豊志氏からは、中央区 晴海地区での、世界初の世代交流型複合施設の紹介がありました。中学校・特別養護老人ホーム・保育園などが、複合施設の利点を生かした共生をすすめています。
国立成育医療センター 奥山眞紀子氏は「子供から見た高齢者との交流」を発表されました。現代の関係が希薄になりつつある、地域(コミュニティ)の中での子供の抱える問題が深刻化しています。出生や死を知らない、近所のお年寄りとのかかわりがない、伝統的な遊びを教えてもらえない。その結果、自分の中の狭い世界にとじこもり、人間関係が築けない。そんな子供たちにとって、世代間交流は、新しい世界であり、ゆっくりとしたリズムの体験であり、自分の存在が喜ばれること、伝統の継承者である自信などの意味をもちます。子供の将来の豊かさに向けて、切り捨てる文化から紡ぐ現代の文化へと希望で結ばれています。
第1部では米クリーブランドで世代間交流学校The Intergenerational Schoolを開校しているピーター・ホワイトハウス先生から米国フリーブランドでの事例を紹介いただきました。
第2部のパネルディスカッションでは「聖路加和みの会」のほか、3題の実践報告が行われました。